会社設立時の書類をつくるサービス選びで、
マネーフォワード、弥生、freee
のどの系列のサービスがいいのか、知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
クラウドの会社設立サービスは、複数ありますので、どれを選んでいいのか迷ってしまいます。ここでは、それらを選ぶ際のポイントなどしています。
会社を設立する際には、
申請用の書類
を作成して、
法務局、税務署、県事務所、市町村
の各窓口に提出します。(また、定款認証の為に、公証人役場にも出向きます。)
手続きも、ちょっと面倒ですね。
その中でも、一番面倒なのが、やはり、「会社設立書類」の作成です。
この「会社設立書類」の作成に関しては、
マネーフォワード、弥生、freeeなどのクラウド会計系
の
「会社設立書のサービス」
で、基本、無料で作成できます。
それらのサービスは、使い勝手もよく、便利です。
※これらのサービスは、「書類作成が無料」という内容のサービスです。
ですので、法務局などへの申請時には、別途、登録免許税など実費費用は必要となります。
では、マネーフォワード、弥生、freee系のサービスのうち、実際にどれが良いのでしょうか?
会社設立のクラウドサービスを選ぶポイント
結論から言いますと、
会社設立の申請書類を作成するというサービス内容自体に大差はない
ので、その点では、基本的には、どのサービスを選んでも大きな違いはありません。
しかしながら、細かくみてみると、
下記の事項
でその判断が変わってきます。
【ポイント1】 コスト面(電子定款と公告に関する費用)
【ポイント2】 会社設立後の経理処理
それらの点も踏まえて、下記にその内容を順に説明していきます。
【ポイント1】 コスト面(電子定款と公告に関する費用)
電子定款について
電子定款費用については、
・弥生のかんたん会社設立;無料
・マネーフォワード、freeeの会社設立サービス;5,000円
となっています。
コスト面をみると、弥生のかんたん会社設立がお得感があります。
また、この電子定款費用については、マネーフォワード、freeeの場合、
系列のクラウド会計の申し込み
をすれば、電子定款費用(5,000円)が、実質、無料となります。
ですので、すでに、クラウド会計の利用予定がある場合は、それらを選ぶという選択肢もあります。
【定款について】
定款とは、
会社設立時に定める、「企業に関する内容を記載した文書」
のことです。
内容としては、会社の名前(商号)や事業内容、住所といった会社の基本情報に加えて、さまざまな規則を記載します。
この定款は、以前は書面による定款しか認められていませんでしたが、2004年3月1日から電子定款による電子認証が可能となりました。
電子定款の場合、PDFのデータ形式で申請することになります。
但し、個人で電子定款を発行する場合は、
・電子証明書(市区町村の交付窓口で取得。マイナンバーカードなども必要。)
・電子署名が可能なPDF作成ソフト(Adobe Acrobat Standard/Professional)
・電子署名プラグイン
・電子公証クライアント
といったソフトの環境が必要となり、1回の電子定款を作成する為に、こういった環境を揃えるには、逆にコストと手間がかかってしまうことになってしまいます。
もっとも、電子定款費用を無料にする為に、急いでクライド会計の申し込みをするのも、順序がおかしいように思います。
そのような場合は、まずは、会社設立の準備を進める為に、電子定款費用が無料の弥生のかんたん会社設立を選択しても良いでしょう。
公告について
もうひとつの注意点に、「公告」の設定があります。
法人には、決算内容を「公告」で開示する義務があります。
ただ、実際は、ほとんどの会社が、決算公告をしていないのが実情です。(上場企業を除く)
2021年に官報に決算公告した株式会社は4万154社で、全株式会社のわずか1.5%
東京商工リサーチ https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220309_01.html
ただ、クラウドの会社設立のサービスを利用する際には、
「公告」をどうするのか?
の設定が必要となります。
公告の方法としては、下記になります。
・官報
・電子公告
・専門サービスの場合、年間4,000円前後~、
・自社HPへの掲載
クラウドの会社設立サービスの場合、
・弥生;官報のみ
・マネーフォワード、freee;電子公告に対応
となっています。
電子公告の場合、自社ホームページが無いと、電子公告の費用が継続的に発生します(年間4,000円前後)。
また、官報による開示は、企業ごとの判断になります。
(上記に記載しましたように、公告をしていない企業が大半というのが現状です。)
ですので、どういった選択をするかは、それぞれの判断になります。
「弥生のかんたん会社設立」のQ&A
引用;弥生のかんたん会社設立 FAQ
Q:電子公告に対応していますか?
A:公告方法は官報のみの対応となります
ただ、現状は、ほとんどの法人(上場企業を除く)は、「公告」をしていません。
【ポイント2】 会社設立後の経理処理
マネーフォワードやfreeeの会社設立サービスでは、上記に記載したように、
それぞれのクラウド会計の契約で、電子定款費用(5,000円)が、実質、無料
となります。
ですので、会社設立サービスの利用のタイミングで、
マネーフォワードや、freee会計の会計サービスの契約
をすると、多少、コストダウンになります。
マネーフォワードやfreee会計のどちらを選択するかは、
それぞれのサービスの使い勝手
や、
月額料金
などでの判断になります。
それぞれ、無料期間もありますので、試験的に利用しても良いでしょう。
もっとも、会計クラウドの検討が未だの場合は、電子定款費用が発生しない「弥生のかんたん会社設立」を選択しても良いでしょう。
【参考】クラウド会計を選ぶポイントとは?
ちなみに、クラウドの会社設立のサービスを利用するタイミングで、
会計クラウドも選んでおきたい
という場合に、どんな点に注意して、選べばいいのでしょうか?。
参考までに、下記にそのポイントを記載しておきます。
会計サービス;マネーフォワード、弥生、freeeの特徴は?
マネーフォワード、弥生、freeeの違いはどんなところにあるのでしょうか?
一般的に、簿記の知識がある場合は、マネーフォワードや弥生のほうが扱いやすい面があります。
弥生は、会計ソフトの老舗企業です。
逆に、freeeは、オリジナルな発想で作られている為、簿記の知識があると使いづらく感じる部分があります。
また、人事面の管理の機能に関しては、
・マネーフォワードには、人事面の管理の機能も含まれている
・弥生やfreeeの場合は、含まれていない(別サービスとの連携)
となっています。
また、それぞれ、月額料金にも違いがありますので、試験的に使ってみて、実際の使い勝手なども比較検討して判断しましょう。
それぞれ、無料期間もあります。
クラウド会計(それぞれ、無料で利用できる期間があります)▼
マネーフォワード、弥生、freeeの「会社設立サービス」でできること
マネーフォワード、弥生、freeeの「会社設立サービス」で、会社設立の申請手続きが全て完了するわけではありません。
実際に、クラウドの「会社設立サービス」で対応できる範囲について、順に説明していきます。
無料でできることは、限られています。
クラウドの「会社設立サービス」は、あくまで、
書類作成
が無料でできるということです。
会社設立時の、書類作成以外の費用は、基本、実費がかかってきます。
参考までに、書類作成以外の費用(実費)としては、下記項目があります。
会社設立の際の実費について
株式会社の場合
■公証役場
定款認証手数料 5万円(資本金によって、金額が異なります)
定款印紙代 4万円
定款謄本代 約2,000円
■法務局
登録免許税 15万円
登記事項証明書代 1通600円
印鑑証明代 1通450円
合同会社の場合
■公証役場
定款印紙代 4万円
■法務局
登録免許税 6万円
登記事項証明書代 1通600円
印鑑証明代 1通450円
上記のうち、
定款印紙代 4万円
に関しては、
クラウドの「会社設立サービス」の利用で、電子定款
となり、コストを削減できます。
【参考】
電子定款を自分で作成する場合は、「電子証明書の交付の手続き」や、「定款に電子署名を付ける」といったことが必要となり、かなり面倒です。
電子署名をつけるソフトも、費用がかかってきますので、電子定款を自分で作成することは、あまり得策とは言えません。
ちなみに、freee、マネーフォワードの会社設立サービスの電子定款の費用は、いずれも5,000円です。
また、上記にも記載しましたが、それぞれのクラウド会計の契約をすることで、この電子定款費用5,000円が実質無料になります。
また、「弥生のかんたん会社設立」の場合は電子定款費用が、無料となっています。
オンライン申請について
弥生のかんたん会社設立、freee会社設立の場合、
作成した書類を、各行政機関に、オンラインで申請すること
ができます。
(もちろん、書類を印刷して、各行政機関の窓口に提出する形もできます。)
オンラインで申請すると聞くと、便利そうなのですが、しくみ上、
マイナポータル(法人設立ワンストップサービス)との連携
となる為、下記の準備が必要となります。
・マイナンバーカード
・ICカードリーダー/ライター
・マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォン等
・申請に必要なソフトやアプリのインストール
・公証人とのビデオ面談の為のWebカメラ、マイク
等。
ですので、これらを使って手続きをする手間とコスト(ICカードリーダー/ライターの準備等)を考えると、普通に、
書類をプリントアウトして、各行政の窓口に提出
という段取りのほうが、効率が良いように思います。
【参考】クラウド系のサービス以外の「会社設立書類」の作成方法
上記のクラウド会計系の「会社設立書類」サービス以外の方法としては、下記があります。
・司法書士さんへの依頼
・行政書士さんへの依頼
・その他の「会社設立」サービス
司法書士さんへの依頼
会社設立の書類作成を、司法書士さんに依頼するのは、
もっともオーソドックス
な方法です。
費用的には、コストアップになりますが、通常、
電子定款での対応
もしてくれますので、紙の定款と比べて、その分の費用は低く抑えられます。「
また、法務局および公証人役場への定款申請も、司法書士さんが代理で行っていただけます。
費用はかかりますが、手間的には、楽です。
行政書士さんへの依頼
行政書士さんも、法人設立書類の作成を行っている場合があります。
この場合、
単に、書類作成
をしてもらうだけになります。
ですので、法務局や公証人役場へは、自身で行くことになります。
また、電子定款に対応しているかどうかでも、費用が変わってきます。
その他の「会社設立」サービス
その他にも、
会社設立をサポートするサービス
があります。
例えば、
税理士事務所
や、
オフィス機器の販売会社
などのなかには、会社設立手続きを、無料で対応している先もあります。
このような場合、
条件付きのケースが多い
ので、注意が必要です。
例えば、
税理士事務所の場合、会社設立後の税務顧問契約を条件
にしたり、
オフィス機器の販売会社の場合、コピー機の契約を条件
にするといったぐあいです。
その場合、結局、トータルコストが高くなってしまいますので、注意が必要です。
まとめ
会社設立書類作成サービスは、
コスト的にも、使い安さ
からも、結局、クラウドの会社設立サービスがお勧めです。
また、それらを選ぶ視点としては、
・電子定款費用が無料となっている、「弥生のかんたん会社設立」
・クラウド会計の利用が決まっているようであれば、その系列の会社設立サービス(マネーフォワード、freee)も含めて検討
といったポイントで検討することになります。
また、マネーフォワードの会社設立サービスは、
法人印をお得な価格で購入できる
という利点があります。
種類 | 価格 | 内容物 |
---|---|---|
柘(ツゲ) | 8,440円(税・送料込) | 実印・銀行印・角印・印鑑ケース |
黒水牛 | 10,420円(税・送料込) | 実印・銀行印・角印・印鑑ケース |
チタン | 33,320円(税・送料込) | 実印・銀行印・角印・印鑑ケース |
このメリットを優先して、
マネーフォワードの会社設立サービス
を利用するという選択もあります。
それぞれの状況によって、サービスの利用を検討しましょう。
いずれにしても、無料あるいは、低コストで利用できるサービスになります。
以上、「会社設立書類作成、freeeとマネーフォワード、弥生のどれがいい」についての説明でした。