
賃貸不動産経営管理士の設置義務が、
いつから?
なのかを知りたい。
こんなテーマに関する記事です。
「賃貸住宅管理業者」の登録に関する内容や、登録後に必須業務、罰則規定などの注意点について記載しています。

賃貸不動産経営管理士の設置は、いつから義務化されているのでしょうか?
賃貸管理業に関する「賃貸住宅管理業法」という法律は、
令和3年6月15日より施行
されています。
ただし、賃貸住宅管理業者としての登録自体は、
令和4年6月15日までに行う
という内容になっています。
ですので、上記の日付以降においても、
管理戸数が200戸を越えた賃貸管理業者
は、賃貸住宅管理業者としての登録をしなければならない(義務化された)ということになります。
また、設置が必要なのは、正確には、
賃貸不動産経営管理士
ではなく、
「業務管理者」
となります。
この「業務管理者」の要件が、
賃貸不動産経営管理士
もしくは、
宅建士
ということになります。
つまり、現状では、宅建士でもOKということになっています。
※更に、管理業務に関し2年以上の実務経験もしくは、実務講習を受講することも要件になっています。
下記に詳細を解説します。
法的な位置づけ

今回の、賃貸住宅管理業に関わる法律は、
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(通称「賃貸住宅管理業法」)
になります。
この法律は、
令和2年6月19日
に公布されています。
そして、貸住宅管理業を営む者に係る登録制度が、公布の日から1年以内に施行されることとなり、
令和3年6月15日から施行された
という経緯になっています。
この法律の目的は、下記の2つになります。
賃貸住宅管理業の適正な運営
と、
サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正
です。
賃貸住宅管理業の適正な運営
賃貸住宅管理業の適正な運営の為に、
賃貸物件を管理している業者
に対して、
その戸数が200戸を越える場合
に、
賃貸住宅管理業の登録が義務化
されたということになります。
また、管理戸数が、一時的に、200戸を越える場合においても、登録が必要となります。
逆に、管理戸数が200戸未満の場合でも、登録は可能になります。(登録が推奨されています)
登録後は、管理戸数が200戸未満の場合でも、
賃貸住宅管理業の規制対象
となり、
監督処分や罰則の対象
になります。
サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正
また、サブリース業者に関しては、登録ではなく、
契約形態のルール化、制度化
がなされたということになっています。
このサブリース物件の管理契約に関しては、通常の賃貸物件とは、別の契約形態になりますので、
特定賃貸借契約
という名称で、その法的なルールが定められています。
業務管理者の要件

業務管理者の要件としては、上記にも記載したように、
賃貸不動産経営管理士
もしくは、
宅建士
のいずれかになります。
また、それぞれ、管理業務に関し2年以上の実務経験が必要となりますが、その要件にあてはまらない場合は、講習を受講することで対応できます。
(これは、宅建士も同じしくみですね)
また、賃貸不動産経営管理士に関しては、
令和3年4月21日に発表された国土交通省令
にて、国家資格となっています。
つまり、それ以前は、民間資格だった訳です。
ですので、民間資格として、賃貸不動産経営管理士の資格を持っている場合は、
事前に移行手続き
を行う必要があります。
ただ、この移行講習は、
令和4年6月までに修了が必要
となっている為、それが終了していない場合は、要件に合致しないということになります。
その場合、業務管理者の要件を満たすには、
改めて、賃貸不動産経営管理士の資格を取得するか、もしくは、宅建士の資格での対応する
ということになります。
登録できないケースとは?

下記のような場合、賃貸住宅管理業者の登録ができません。
・負債の合計が資産の合計を超えていないこと(→債務超過でないこと)
・支払い不能に陥っていないこと(→破産原因でないこと)
ですので、登録申請時の、会社の財務状況には注意が必要です。
また、下記の事項の場合もNGです。
・過去に賃貸住宅管理業の登録を取り消されてから5年以内
・禁錮以上の刑に処せられて刑の執行猶予期間終了後あるいは刑の執行終了後5年以内
・暴力団関係者
・破産手続き中の人
・判断能力が著しく低下している人
賃貸住宅管理業者の登録の更新に関して
賃貸住宅管理業者の登録の更新期間は、
5年
になります。
賃貸住宅管理業者の必須業務や義務とは?!

賃貸住宅管理業者は、下記の項目を行うことが義務付けられます。
それらが実行されない場合(反することを行ってしまった場合)には、
罰則の対象
となりますので、注意が必要です。
必須の対象となる事項、業務内容は下記となります。
一定要件を満たす場合「登録」の義務がある
管理戸数が200戸を越える場合は、賃貸住宅管理業者の登録が必要となります。
一時的に200戸を越える場合も該当します。
業務管理者の配置を義務付ける
賃貸不動産経営管理士もしくは、宅建士の資格保持者を、業務管理者として配置する必要があります。
管理受託契約締結前の重要事項説明
物件の管理受託をする際には、物件オーナーに対して、報酬及び具体的な管理業務の内容、実施方法等を記載した、「重要事項説明書」を交付して、その内容を説明する義務があります。
管理受託契約締結時の書面の交付
管理受託に関しても、契約書面を交付して、その内容を説明する義務があります。
財産の分別管理
自社の財産と、入居者等から受領する金銭を分別して管理する必要があります。
定期報告
管理業務の実施状況などについて、年1回以上の頻度で、物件オーナーに対しての報告が必要となります。
【参考】賃貸住宅管理業者の主な業務(国土交通省)▼
罰則規定

賃貸住宅管理業に関する罰則規定としては、
登録に関する罰則
と、
業務に関する罰則
の2つがあります。
登録に関する罰則
賃貸住宅管理業の要件に合致しているにも関わらず、賃貸住宅管理業の登録を怠った場合は、
「一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」
ということになります。
また、「不正な手段で登録した場合」や「他人への名義貸しを行った場合」も同様の罰則になります。
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第41条 ▼
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502AC0000000060
賃貸住宅管理業者の必須業務に違反した際の罰則
上記に記載している、
賃貸住宅管理業者の必須業務
に違反した際には、
業務改善命令などの行政処分の対象
となります。
また、悪質と判断された場合、業務停止命令や、登録の抹消、情報公開といった処分が下される可能性があります。
行政処分に対しての違反をした場合は、
6ヶ月以下の懲役または50万円以下の刑事罰
が適用される可能性があります。
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第40条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=502AC0000000060
まとめ

賃貸住宅管理業に係る登録については、法的な整備がなされたことにより、それに違反すると、
厳しい罰則
を伴う内容となっています。
つまり、従来の「宅建業」の登録、規制と同じようなレベルでの「位置づけ」となっています。
ですので、登録の対象にあてはまる場合は、すみやかに登録を行うとともに、
ルールに合わせた業務
を行うことが必要となってきます。
会社によっては、業務量が増えるケースもあるかもしれませんが、本来、行うべき業務となりますので、ルールに沿って対応していくことが重要になります。
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以上、賃貸不動産経営管理士の設置義務に関する説明でした。
